こんにちは。
皆さんは「筋膜」という言葉をご存知でしょうか。
整体院のニュースレターやホームページの記事内でも、筋膜という言葉を目にした事があるかもしれませんし、
世間でも筋膜リリースという施術があり、
よく知っている方もいるかもしれません。
では「ファシア(fascia)」という言葉はご存知でしょうか?
少し前まで、ファシアの訳である筋膜とは
筋肉のまわりを包む膜で、鶏肉のまわりにある薄い膜のような物、と言われていました。
しかし、画像診断装置の進歩によりいろいろなことが分かってくると、
今まで膜と思われていたファシアがもっと立体的な構造物であり、
筋肉のまわりだけでなく、全身の皮膚から骨髄まで存在することが分かってきました。
筋肉を包む筋膜や、骨膜、心膜や胸膜など内臓を含む膜、
腱や靱帯など骨格筋以外の部位の結合組織全てがファシアで、
皮膚と筋肉、筋肉と筋肉、筋肉と血管、神経と血管など、
全ての臓器の間、細胞と細胞の間を構成している綿のような構造体だったのです。
主にゲル水とコラーゲン繊維からなる海綿状の構造をした弾力のある組織で、
第二の骨格と言われているように身体を支える機能を持っています。
ファシアだけで人の体の形になるほどです。
この様に、ファシア=膜ではないと分かってきたことから、
筋膜と明確に区別するために「ファシア」という言葉が使われるようになってきました。
しかしまだ「筋膜」は、ファシアの一部という意味で使われている場合と、
ファシアと同義で使われている場合と混在しているようです。
あるリンパ整体院では、力を入れない優しい施術を心がけていますが、
これはファシアのケアという観点からも理にかなっています。
凝りや痛みの生じている部分は血流が滞って筋肉が固くなっていますが、
これはファシアが収縮していたり癒着していたりして動きが妨げられていることによるものです。
力を入れた施術ではさらにファシアを縮め固くしてしまう可能性がありますが、
逆に優しく動かしてファシアの立体構造を取り戻すことが出来れば、血液やリンパの流れも良くなり、
凝りや痛みを和らげることが可能です。
ファシアは先にも述べたように組織と組織の間、臓器と臓器の間、細胞と細胞の間など、
身体のあらゆる空間を占める、つまりあらゆる組織に直接接する臓器なので、
ファシアの不調を正すことが出来ればその効果はそれに接する組織にも及ぶことは
容易に想像できると思います。
またファシアは全身に渡り繋がっているので、直接接していない組織にも影響しています。
足を施術して腰や首の調子が改善したり、といったようなことも不思議ではないのですね。
ファシアについては最近分かってきたことが多く、またこれからも研究が進んでいくと思われます。